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東海
ホロス 菅原はるみ

                              『心理療法とは』  vol.07 1995.08

癒しの術としてのイメージ療法
菅原はるみ 紹介
 大昔から、わたしたちの先祖が心身の不調を覚えたときに助けを求めたのはヒーラー(癒す人)といわれるシャーマンや呪術師のところでした。病は社会や人間関係の中で「つながり」が失われ、孤立していくにつれて起こると信じられ、ヒーラーは来談者のいのちのゆらぎをうながす「つながり」を回復するために、さまざまな技法を用いていました。そのひとつがイメージの力を活用する方法でした。

  からだとこころの分離から再統合へ
 ところが、19世紀末になり、「無意識」を発見して「精榔医学の巨人」といわれたフロイトが出現するようになって、心理学が科学として社会に認められるようになりました。20世紀になるとさまざまな流派の心理学が生まれ、行動主義心理学者やフロイトの弟子である「魂の研究家」といわれたユシグなどがあらわれました。

ユングは『無意設」の領域を「個人的な無意識」と「集合的な無意識」に分けて考えることを唱えたのです。
からだは医学、こころは心理学と、心身をはっきり分けるようになってきましたが、多くの学説はフロイトと同じように人間の病理的な側面に注目していたのです。

20世紀も後半になると、舞台台はヨーロッパからアメリカに移り、アメリカに木きな精神分析ブームがおこりました。自己実現を提唱したA・マズローらが、人間の健康的な面の研究も含む「人間性心理学」の基礎をつくり、からだとこころの再統合をめざしました。その証拠としてマズローのまわりには、クライアント中心の心理療法を開発したC・ロジャーズやゲシュタルトセラピーのF・パールズ、フェルデンクライスやロルフ、アレキサンダーなどのホディワーカーたちが集まり、からだとこころの再統合の運動に参加していきました。

  真の治癒と成長
 自己実現を達成したマズローが晩年になって、自らの体験も踏まえながら、人間の欲求には自己実現の上に自己超越欲求があるということを探求していく過程で、ホトロピック・セラピーのグロフや、サイコシンセシスのアサジョーリらと出会い、「トランスパーシナル心理学」の基礎を築いていきます。
それまで謎のベ一ルに包まれていたユングの集合的無意識にも光があてられ、従来の酉洋心理学の中に、東洋の修行体系からシャーマニズムまでにおよぶ幅広い営みを位置づけ、トランスパーソナル心理学を確立していったのです。
  もともとひとつであったからだとこころの再統合がいよいよ盛んになり、その研究対象は「自我の確立」から「自己超越」へ、「病理的側面」から「真の癒しと成長へ」と広がりつつあるのが現在の状況です。
 医学界でも心身医学から、精神神経免疫学が発達し、「呼吸法・瞑想・イメージ法」などが治癒に不可欠な心身技法であることが科学的にも立証されるようになり、がんをはじめとする身体的な病気にたいしてもそうした技法がとりいれられるようになっていきました。

  臨床の現場から
 わたしはイメージ療法を病院ではがん患者に、研究所では精神的不調を訴えるクライアントにしてもらい、自己治癒力を発揮するための鍵を無意識から探ってもらっています。それまで不安や恐怖にかられていた人でも、だんだんリラックスしていくうちに、治癒を妨げていた異物が取り除かれ、こころの傷が白然に癒されていくことが多いからです。
 主治医が何気なく目にした「たちの悪いがん」ということばが患者の胸につきささり、そのことばによって立ち直れなくなった人エンゼル
必要以上に自分を責めぬき、それが病状をきついものにしている人。長いあいだ自分を受け入れられずに、「剣山の上を歩いているような」イメージの中で、器質的な疾患がないにもかかわらず激痛に悩まされているような人。

そんなとき、イメージの中でそのこころの「とげ」を引き抜く。「こころからしたいことをして、笑っている自分の姿」をくり返しイメージする。ため込んでいた感情を表出する。すると心身の痛みが消えたり、「そのままの自分を受け人れる」ようになっていったりもします。

そのことが、免疫力を活性化し、健康を取り戻し、また死の恐怖を手放して「生かされている喜び」を味わうような形として、治癒や成長が促されるのです。いわゆるリラックスしたときの意識は日常とは違った非日常意識状態といわれ、そうした意識がどうやら未知の「治癒系」に結びついているということが解きあかされはじめています。
心理療法を含め、入と人との出会いの場としての「癒しの術」がいまほど必要とされているときはないのかもしれません。

★《管原はるみ先生の連絡先》ヒューマンアウェアネス研究所
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