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弟1章 求めるもの
あなたが今、新車を購入するとしたら、まず何を初めにするであろう。情報誌を読み、カタログを集め、ディーラーへ出掛け、実擦に乗ってみて、それでもいろいろ悩むことはないであろうか。あなたは、医療を受けるためにそうやって考えながら行動するであろうか?
車を買うときにも人には様々な思いがある。全てに最高の装備をもった物でなけれぱいけない人、パランスよくそこそこの性能をもっていればいい人、安けれぱ多少の難点はあってもよい人、特種な新しいメカニズムを求める人、一方では、白分の足で歩くから車なんて必要ない人。今、あなたが車を買うことと、医療をどうやって受けようとするのかは全く共通する点がないのだろうか。
弟2章かかわり方
あなたの身の回りにいる友人たちのことを考えてみたい。偶然出会ったが、深い信頼をもてるようになった友人、初めは好きになれたがそのうちに付き合いきれなくなった友人、逆に初めは顔を見るのも嫌であったのに、付き合ううちに信頼する相手に変わった友人、知り合いに紹介され間違いのない付き合いになった友人、逆に知り合いの紹介であるがために、義理を通している友人、あなたの回りにもこんな多くの友人たちがいないであろうか? 医者と患者の関係はこれらとは無関係なのであろうか? 一度出会った医者と患蓄の関録は、人と人の個鰯の相性に関係なく完全なのだろうか。いや完金でなけれぱいけないのであろうか。
第3章進歩したこと
もしも今、冷蔵庫がなかったらあなたは食物を保存するために知恵を使うようにならないだろうか? もっと小まめに買って早く料理しないだろうか? 冷蔵庫があるためにかえってものを腐らせてはいないだろうか? それと同じように、病院へいけばなおるからと、あなたは自分の身体に無頓着ではないだろうか。健康保険があるからと、安心しきっていないだろうか。あなたは自分の回りにある便利さに慣れて倣慢になっていることがないだろうか。昔、肺炎で死んでいくしかなかった子供の親にはなにもしてやれない無力さへの悲しみがあった。今は、肺炎と言われた親が入院が長引くから大変だと顔をしかめる。“なんていい時代なんだろう。"
昔、今のように病気を治すことができなかった時、医者はなにもしてやれない申し訳無さを感じながら患考の手を握ったことがきっとあった。今は治すことができると思うが故に、手を握る家族に「処置をしますから少し外にいて下さい」と言える。
第4章今と昔
「戦争中は・・。」という言葉を最近聞かなくなってしまった。みんなが嫌な顔をするから言わなくなってしまったのか、言う側が“今"に慣れてしまって言うことを忘れてしまったのか、言う人が既に年老いて言う気力を失ったのか、既に亡くなってしまったために聞かなくなってしまったのか。少なくとも、その昔、若者は「戦争中には・・。」という言葉をうるさい話と思いながらも、「我々はやはり恵まれているのかもしれない」と心のどこかでは感じながら育っていたに違いないのだ。だれもその言葉を言わなくなってしまった今は、若者はだれも自分が恵まれているなんて思えないのかもしれない。昔、肺炎炎で死んでいくしかなかった子供の親にはなにもしてやれない無力さへの悲しみがあった。今は、肺炎と言われた親が入院が長引くから大変だと顔をしかめる。“なんていい時代なんだろう。''
昔、今のように病気を治すことができなかった時、医者はなにもしてやれない申し訳なさを感じながら患考の手を握ったことがきっとあった。
今は治すことができると思うが故に、手を握る家族に「処置をしますから少し外にいて下さい」と言える。
第5章 私の思い
医寮の原点にあるひたむきさや純粋さを人はよく知っている。にもかかわらず、なぜ最近人は不安に思う心が増えてしまったのだろう。
私は、「人がいろんなものを失ってみて初めて大事なものだったと気付くのだ」などと思いたくない。しかし最近、人の言ういろんな不満を聞いていると「一度全てのものを失ってみることも大事な気付きになるのかもしれない」と感じるのもまた事実なのだ。医療が今、すべて無くなるとしたら、人はあれだけ不信を抱いていた医療に対してもっ'とやさしくなれ、大事にできるようにな:るのではないかと思う一方、今の医寮技術をもし全て使えないとしたら、医者はもっと原点をみることができるのかもしれないと思うのだ。
新しい時代になり、医療に求めるばかりの時代ではなくなったのかもしれない。個性を尊重する医寮の時代は同時に、何を求めるのかを個人が自ら考え、主張する“責任”を負う時代でもある。
なにも難しいことではない、普通に少しだけ、自分が何を求めているのかを考えてみることなのだ。そして自分が友人に対して関わるように、少しだけ関わり方の一端を自分にも課してみることである。時々は、普より今の方がいい時代なのかもしれないと感じてみることである。
今後、医療の情報はどんどんと増えていくであろう。そのために混乱を来さなけれぱよいと思う。そのためには、医療者と患者の関係が今より大事になってくるであろう。友人とのかかわりと同じように、好きになれる自分の相手をみつけることである。そして情報を適切に選ぶ相談相手にすることである。選んだ結果に対して、迷い続けない自分の強さと、自分の信じ方をしっかりもつことである。それは必ずやもっと優しい医療をつくりあげる基礎となると私は信じている。
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