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西洋医学は近代科学を基本としてめざましい進歩を遂げてきました。
特に、近年の分子生物学や遺伝子丁学の進歩に伴う医学の発達は、いまや、遺伝子レベルの診療までも可能にしつつあります。しかし、一方で、進歩のかげに匿き忘れられたもの、あるいは西洋医学が得意としない病気が増えてきているのも事実です。
西洋医学は、局所を分析的に診て行くため、病気の診断を得意とします。治療でも病気の原因が外因性の場合、例えば結核菌などによる感染症とか、事故の緊急事態の処置などでは大変な力を発揮します。しかし、原因が患者自身の内側にある場合、つまり内因性の病気である、成人病、がん、老人性痴呆、あるいは最近のストレス社会を反映して増えている心身症や精神病などの治療成績がいいといえる状態ではありません。
また、医の倫理とか、患者と医者の関係性などが、医学や医療技術の進歩と同じ様に進歩しているかといえば、残念ながらイエスとはいえません。むしろ国民の多くは懐疑的であり、現代の医療が木を見て森を見ずとか、病気を見て病人を診ていない傾向にあることへの批判も根強くあります。これほど医学が進んでいるのに、病気は増え続け、国民医療費は20兆円を越えてしまい、いわゆる医療不信といわれる時代になってしまったのは、なぜなのか?
この疑問に対する解答を捜し求めていくうちにホリスティック医学という新しい言葉に出会いました。欧米諸国において西洋医学の診療の弱点を補うために、西洋医学一辺倒であった医療の中に東洋医学などの伝統医学や民間療法を組み込もうとする医療概念です。
しかし、西洋医学以外の民間療法や伝統医学のなかには、とても医学とは言い難い治療法も含まれていますので、何でもかんでもやればいいという訳にはいきません。そこで、これらを客観的に評価するために、データによる裏付けを取りながら勉強しようということで1991年6月に東海地方の有志によってホリスティック医学を研究、普及する目的で東海ホリスティック医学振興会が発足しました。
以来、多くの同じ疑間を持っ人々との出会いがあり、ネットワークが形成されつつあります。毎月、顧聞や理事の方々を中心とした各種のシンポジウム、セミナー、講演会などが定期的に開催され、講師も参加者も東海地方にとどまらず全国的な広がりをみせています。
特に・昨年から始まった〔ホリスティック医学セミナー〕は市民公開講座の形式をとったため、毎回500名を越える一般市民の参加がみられました。
さらに、患者さんや家族を対象にしたより実際的な教室や相談会、講座も始まりました。今年は、〔がん患者さんの自己治薗カを高めるホリスティック医学講座(全12回)〕が顧問や理事の先生のご協力のもと、毎木曜日に毎回異なったテーマで開かれ、活発な質疑が続いています。
また、この会の活動のもう一っ大きな柱である'ホリスティック医学関連情報の提供、会報の発行}も、漸くこのHOLOS通信の発行で軌道に乗りそうです。
今後の課題の一つに、ホリスティックな医療と西洋医学との融合のあり方を探ると共に日本の風土、文化に根ざした新しい医療・保健・福祉のネットワークづくりがあります。その基本理念は・現在の画一化された医学観とは異なる多様な魎値観、死生観の存在を認め、自分の心身の健康は自分でまもり、病気の治療の主体はあくまで患者であることを明確にした上で、医療関係者、家族、ホリスティックな療法家、患者同士、メディアなどが緊密な協力態勢をつくりつつ、それぞれの役割を果たしていくことだと考えます。
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