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東海ホロス       ボディートークで元気になろう      通信目次
          
                      増田 明 当振興会顧問  ボディートーク協会会長
 
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その1 生命をふくらませる自然体運動

心と体は切り讐せない
 アメーバを見たことがありますか?一つの細胞だけで出来ている代表的な生物です。もちろん顕微鏡でしか見ることができません。円を少し崩したような形が、どこへということもなしに緩やかに動いています。水に流されているのでもなく、空気に動かされているのでもなく、アメーバはアメーバの意思で動いています。即ち、心を有しているのです。ここに「心と体は一つ」の原型があると思います。
この単細胞の生命体が六十兆個も集まって、有機的にまとまり、一人の人間の存在が出来上がります。これほどの細胞が集まって」つの働きをするのですから、心も体も限りなく人きく複雑に膨らんでいます。なんと、めくるめく生命の輝き!ところで、私たち動物の生命の出発点は息にあります。生きているということは即ち息をしているということです。息が心を生み、体を生んでいるのです。息が意思を作り、行動を起こさせる、と言い換えてもいいでしょう。

胎児の動きは微振動から蠢動(ジュンドウ)へ発展する
人間も又、単細胞から出発していますが、生命活動としての運動を生命の誕生から見てみましょう。受精卵は卵割を始めて、十数時間で勾玉の形になります。この形は魚も牛も豚も人間もみんな同じです。勾玉の形は微振動を繰り返しながら、細胞分裂を続け、やがて手が生え足が生えて、牛になったり人間になったりしていきます。

人間の胎児は、お母さんのお腹の中で微振動から徐々に動きを大きくし、姦動へと発展します。姦動とは『うごめき』のことです。運動以前のモゾモゾとした動きです。モゾモゾ動きは次第に大きくなり、子宮の壁を肘で突いたり、足で蹴ったりします。いわゆる『胎動』です。胎動は赤ちゃんを宿したお母さんへのプレゼントです。

人は本能的に自然動を行う
生まれ出た赤ちゃんは、立ち上がったり、歩き出したりします。子どもになると走ったり、飛ぴ跳ねたりしてスクスクと成長します。これらの体の動き方は本能的なものです。人間といえども動物ですから、生命を維持する為には動かないと生きてはいけません。原始時代には『運動』という概念はなかったでしょうから、狩をしたり木の実の採集をしたり、火を起こしたり道具を作ったり、と動きまわっていたと考えられます。生きるための必然から、いわば本能的に動くことは『運動』以前の動きですから、私は《自然動》と名付けています。

勾玉運軸から自然体運動が生まれる
私たちは心が沈みますと、いつの間にかうずくまってしまいます。この「うずくまる姿勢」は、胎児と同じです。即ち、エネルギーが枯れてくると、胎児の姿勢に戻るようになっているのです。うずくまったまま、体を細やかに揺すってみましょう。そして、お腹の中の赤ちゃんが少しずつ手が出来、足が伸ぴてくるように、ユラユラと揺れてみましょう。腰をおろして足を少し開き、左右にユラユラとゆらめくと、『背骨の波送り・ヨコ波』が始まります。胎児は指をくわえて、やがてお母さんのおっぱいを吸うHのために練習をしています。座ったまま口にくわえた指を前方ヘパラッとひろげますと『背骨の波送り・タテ波』の運動になりますね。体の左右を交互に揺すって『胴ぶるい』をしますと、これぞ『勾玉』の微振動です。

このように、運動を次々に展開していきますと、運動の始まりは『勾玉運動』だということが分かります。この動きは全ての人の生命活動の始まりですから、自然に、本能的に動けるのです。

心に直結した運動こそ、人類体操にふさわしい
現代の私たちの生活には科学が発達したために、人工的な食材や加工物が増えました。その反省から「自然食品」の重要性が叫ばれています。このことは運動にとっても同じです。スポーツ競技を中心とした運動は、《自然動》に対して無理なことが多く、体を壊すケースが続出しています。また、体の丈夫さを求める健康体操は、残念なことに心の在り方が無視されがちです。

人は心と体を一つにして生きていますから、本来の人間の在り方を取り戻そうとするなら、心に直結した《自然体運動》が必要となります。微振動に始まって蠢動、そして自然動、さらに内容を深め、磨きをかけた《白然体運動》の流れこそ、これからの人類体操とすべきではないでしようか。

その2 自然体遣動による元気回復の例

ボディートークは医療ではありませんが、体の症状を心の働きから客観的に捉える研究をしております。その解決例をご紹介しましょう。
真夜中に二十代の女性から電話がかかりました。よっぽどの緊急事態なのでしょう、声は震えています。訴えは、こうです。

「夜になって急に激しい吐き気と下痢になってしまいました。こんな症状は初めてのことだし、病院は開いてないし、とても不安です。どうすればいいのか……」声はすれども姿は見えず。まして体に触れることもなく、事態を判断しなければなりません。吐き気と下痢の症状ですから、最も可能性の高い状況から質問を始めました。

 I. 食ぺ物を疑ってみる
質間「変な物を食べませんでしたか?」答「いいえ」質問「食後、どのくらい時間が経って吐き気がしましたか?」答「4時間ほどでしょうか」ということは、まず食物は間題なさそうです。毒気の強いものを口にしますと、私たちは即座に吐きます。腐りかけのものを食べますと、罵の消化が行われる最中に吐きますから、しばらくして反応が起きます。30分からI時間ほどして上行結腸が痛み始めますと、下痢になります。この女性の場合は、食事をしてから反応が4時間後ですから、食物が原因ではない、と判断したわけです。

 U インフルエンザ・ウイルスを疑ってみる
質問「背中に寒気がしますか?」答「いいえ」質問「頭痛はしませんか?」答「大丈夫です」インフルエンザ・ウイルスが体内に侵入すると、体は即座に反応して、白血球がウイノレスを捕らえ、白律神経の働きで熱を上げ、ウイルスを殺そうとします。また、頭痛を伴うことが多いのです。この女性の場合は、悪寒や頭痛の症状がないので、どうやらインフルエンザ・ウイルスの間題ではなさそうです。

 V 心の問題を疑ってみる
次に私の脳裏にひらめいたのは、『心の悩みが体に表れる』仕組みでした。基本的には吐き気は胃の神経から起こりますし、下痢は腸の神経から起こります。そして心の悩みは胃や腸に直接的に影響を与えます。そのことを踏まえて、私は次のように質問しました。
質間「お風呂に入りましたか?」答「はい」質間「吐き気が始まったのは、おふろの後ですか?先ですか?」答「お風呂からあがって、すぐに強い吐き気がきました。下痢も同時です」この女性はもともと胃や腸を固めていたと察せられます。

もちろん体全体を縮めていたと思われます。質聞「あなたは最近、焦りを感じたり、激しい後悔をしていませんでしたか?」答「その通りです」このような状況で入浴すると、どうして直後に吐き気と下痢が起こるのか。実は、お風呂に入ると急速に体が緩むのです。ですが、特に固めた胃や腸は、そうそう簡単に緩まずに、固いままに残ります。さっさと緩んだ筋肉と収縮している筋肉のギャップで、ちょうど中聞の神経が引っ張られてしまうのです。それで、神経を元に戻そうと反応が起こり、症状が始まるのです。

 W.どのように対応すれぱいいか
私は電話口で『一人ほぐし』の方法を伝えました。「仰向けに寝て、手をお腹に当てて下さい。手のひらを重ねるといいでしょう。あ一と言いながら、両手のひらでお腹を軽く揺すってみて下さい」これは俗に『手当て』というものなのですが、手のひらだけの揺すりだと、揺れがお腹だけに集中して、胃や腸はほぐれにくいのです。それで、体全体が揺れるように更なる工夫が必要です。

「手はそのままにして、両膝を立てて下さい。そして、腰を左右に軽く揺すりながら、手でも同時に揺すって下さい」このようにすると、体全体が揺れながら手はお腹に集中していますので、内臓全体の揺れの中で患部が穏やかに緩むのです。それでも症状が続くようだと病院へ行くように伝えて電話を切りました。翌賜、明るい声で電話がかかりました。「ぐっすり眠って、今はすっかり良くなりました」ボディートークが役に立って、私も共に喜びました。
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